加齢黄斑変性症にはドライタイプとウエットタイプのふたつの種類があるのですが、網膜の下にある脈絡膜(みゃくらくまく)に新たに血管ができてしまうウエットタイプの場合の、その血管形成を阻むものとして、マグネシウムやサメの軟骨の成分が知られています。
目の病気にはマグネシウムとサメの軟骨も有効
女性は年齢が高くなると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になるリスクが高まり、1000ミリグラム以上のカルシウムを毎日摂取することが望ましいとされてきましたが、カルシウムをどんなに摂ったとしてもマグネシウムの摂取量が足りないと、目の場合には、白内障や眼性の偏頭痛、また眼底で血液循環の閉鎖が起こる危険があることがわかっています。
カルシウムは血管の裏の滑らかな筋肉を締めつけるので、血管が狭くなったり塞がれたりして血圧が高くなり、目や脳に起こる軽い発作を促す恐れがあって、過剰なカルシウムは良くありません。このようにして高血圧が起こると、これを下げるためにカルシウムの封塞剤(ふうそくざい)が用いられますが、マグネシウムは天然の封塞剤として作用するし、筋肉を緩和したりします。それだけでなく、体の中ではコントロールするのが特に難しいといわれる瞼(まぶた)の発作や目の血管の発作、偏頭痛、緑内障でもときどき見られる血液の循環不全に対しても、マグネシウムは有効だとされています。近年では、マグネシウムに、網膜の視覚色素を破壊しやすい青い光から目を守る働きがあることが明らかにされました。
サメの軟骨については、ハーバード大学の研究者によって、抗血管形成作用があることが明らかになっていて注目されました。サメの軟骨の成分には、新たな血管ができるのを遅らせて、新しくできた腫瘍に栄養が与えられるのを妨げる働きがあることがわかっています。
もともとある血管に新たに枝分かれして発生する異常な血管が新生血管ですが、目の場合、脈絡膜からこの新生血管が生じ、眼底の中心の黄斑部で起こるので、新生血管黄斑症といわれます。加齢黄斑変性症はその代表です。新生血管は血液成分がもれやすかったり、出血しやすいという性質があります。網膜の下に血液がたまると網膜剥離(もうまくはくり)になり、網膜の機能が低下します。
サメの軟骨が抗血管形成に作用することがわかったことは、黄斑変性症において新生血管が生じるのを阻止することに期待がもてます。
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