ルテインのエキスはマリーゴールドから

ルテインは私たちが普段食べている緑黄色野菜に含まれていますが、最も豊富に含まれているのはホウレンソウです。ただし、そのホウレンソウであっても、目の病気に対してじゅうぶんな働きを期待するには相当の量を毎日摂らないとなりません。このように食事からだけで摂取するのは難しいので、栄養補助食品(サプリメント)でも摂取して補給するのが望ましいことになります。

ルテインを栄養補助食品として摂取するには、その原料にマリーゴールドの花弁が用いられます。マリーゴールドを知っている人もいると思いますが、春から秋頃までの長期間、黄色や橙色などの鮮やかな花をつけます。ほとんどが一年草で、春から秋にかけずっと花を咲かせます。聖母マリア様の黄金の花という意味で、メキシコ原産のキク科の植物ですが、特有の臭いをもっています。

このマリーゴールドの花弁には、ルテインとゼアキサンチンがとても豊富に含まれています。マリーゴールドの花のエキスが栄養補助食品として多く利用されるようになったのには、栽培が簡単なことや日本の夏のような高温多湿の気候に強いことがその理由だと考えられています。

視界に不快な症状がある場合は、マリーゴールドから抽出されたルテインの一日の摂取量は、20ミリグラムといわれています。また、黄斑変性症については、マリーゴールドから抽出されたルテインやゼアキサンチンを栄養補助食品(サプリメント)として摂取すると、だいたい2ヶ月くらいで黄斑の機能が改善してくることが認められています。そのほか、目の疲れやまぶしさを感じたりすることの改善、夜間の視力の改善にも良く働くことがわかっています。

ルテインにはエステル体とフリー体という2種類があるのですが、マリーゴールドの花から抽出された自然体(天然)のルテインはエステル体といわれ、このエステル体が化学合成で精製されたルテインがフリー体といわれます。最近の臨床試験の結果では、精製されていないエステル体のルテインのほうが、吸収性や血中濃度の高さにおいて優れていることが明らかになっています。

目の病気とコレステロール

コレステロールは体内にある脂質の一種です。脳をはじめ全身に含まれていますが、全体の量の10分の1くらいが血液中にあります。ほとんどが肝臓で合成されるのですが、それ以外に卵や肉といった動物性の食品を摂取することで補給されます。コレステロールというと悪いイメージでとられがちですが、体にとって良い働きをする善玉コレステロール(HDL)と、悪い働きをする悪玉コレステロール(LDL)があります。血液中の正常値は、善玉も悪玉も合わせた総コレステロール値が130~220ミリグラムとされていて、このうちの善玉コレステロールでは、男性が40~60ミリグラム、女性は45~65ミリグラムです。

ルテインやゼアキサンチンは、その50%以上が血液中の善玉コレステロールによって運ばれるのですが、閉経した女性は、善玉コレステロールの値が低くなります。さらに、女性ホルモンのエストロゲンが減少することが影響し、黄斑変性の危険が非常に高くなるといわれています。エストロゲンは血液中のコレステロールなどの脂質を正常に保つ働きをしているので、これが減ってしまうと、悪玉コレステロールが増加してしまうのです。そして、そんなときには大豆などの善玉コレステロールを増やすような食品を摂取するのが有効です。血液中の悪玉コレステロールと中性脂肪だけを減らすことで、結果的に善玉コレステロールの比率を高め、脂質のバランスを改善していきます。

大豆にはイソフラボンという植物ホルモンが豊富に含まれていて、その働きは活性酸素の害を消すことです。それと、大豆イソフラボンには、糖尿病で眼底に新たな血管ができてしまうのを遅らせ、失明の危険を低くする働きもあります。

アボカド、アスパラ、レバーなどに多く含まれるグルタチオンは、体内のほとんどの組織で作用する抗酸化物質です。悪玉コレステロールを減少させ、黄斑変性症や白内障、緑内障に対しての解毒剤として働きます。生体内に必要不可欠な成分ですが、加齢とともに減少していきます。

これからの社会では目にかかる負担がますます大きくなることが予想されますが、目に有効な栄養素を上手に摂取できるような食生活が重要になるでしょう。

涙は目の健康のために大切なもの

悲しいときにも嬉しいときにも出る涙ですが、涙は頬を伝い流れるだけでなく、目にとって大事な働きをしているのです。

大切な涙の役割

涙は、目を守るために角膜の表面に膜をつくる大切な役割を果たしています。この涙の膜は3層からできているのですが、角膜の表面と接している一番奥の層は、結膜の細胞から分泌されるネバネバした物質をたくさん含んでいます。ネバネバの物質はムチンという糖タンパクです。そして、この層の上には主涙腺から分泌される水分層があって、さらに、一番表の層は油分を含んでいて、涙の表面から水分が蒸発するのを防いでいます。

涙の役割は、角膜の表面を滑らかに保ち、目に入ってくる光の乱反射を防ぐことと外界のいろいろなものから角膜を守ることです。涙が分泌する量が減ってくると角膜の表層が外界に直接さらされることになるので、角膜が潤いをなくして乾燥し、傷つきやすくなります。すると、細菌にも感染しやすくなり、角膜が潰瘍を起こしたり白濁してしまうこともありますが、涙には細菌の侵入を防ぐために免疫グロブリンというタンパク成分が含まれています。このように、涙は角膜が乾燥するのを防いだり、外界から入ってきた小さな異物などを洗い流したりするのです。また、大気中の酸素を取り込んで呼吸している角膜の手伝いもしています。

目ヤニはどうやってできるか

瞼(まぶた)の裏側や白目の部分を覆っている結膜には、血管やリンパ組織が多く存在していて細菌に感染しやすくなっています。この結膜に炎症が起きると、分泌細胞や粘性の液が分泌されるのですが、これが目ヤニです。炎症が起きていない時の普段の結膜の分泌細胞や腺から出る液は、角膜を保護するために、涙と一緒に黒目の部分の角膜の表面を覆い、涙の膜をつくります。これは、まばたきをすることで新たな膜に変わり、古くなったものは目の表面についたゴミなどと一緒に、目頭から鼻のほうへ排出されているのです。ただ、人が眠っている間はまばたきをしないので、古い涙の膜は目頭に溜まります。朝起床した時に、目ヤニが少し出ているくらいなら特に気にしなくてもよいですが、目が開かないくらいたくさんの量がついているようなら、眼科で診察してもらいましょう。

加齢によって瞼(まぶた)の筋肉が弱くなり、まばたきをすることで古い涙の膜を排出することがスムーズにできなくなります。それが「涙目」の症状になって、感染も起こしやすくなってしまいます。

若い人にも増えているドライアイ

ドライアイ(眼乾燥症)については、目には涙が出る涙腺があっていつも涙が目を潤しているので、健康な人はそれほど目が乾くことはありません。ところが加齢により涙の分泌量が減ると、目が乾燥しやすくなります。ひどくなると、結膜が充血したり、まぶしさを感じやすくなったり、視力が低下することもあります。ドライアイになる人は40代以上の人が多かったのですが、近頃では若い人の間にも増えています。これは、仕事でもパソコンや携帯電話などの画面を凝視することが多く、まばたきの回数が減少したり、目を酷使する人が増えたからです。それに、食べる物の変化やストレスがかかることで目も活性酸素の害を受けることが多いことも関係しています。

目の病気は生活スタイルと関連していて、生活習慣病と同様に増える傾向にあります。ですから、目の健康にもルテインのような抗酸化物質を摂取することが役に立つでしょう。

視力が低下する理由

日本人の視力の低下は、何十年も前から進行しているといわれてきました。視力が0.1未満の強度の近視の人も、かなり増加してきています。しかも、その近視が強い人ほど、高齢になるにしたがって緑内障や網膜剥離(もうまくはくり)が発症する確率が高くなります。なぜ、強度の近視の人ほどこういった目の病気になりやすいのか、その原因については、緑内障はまだ医学的にはっきりわかっていません。一方、網膜剥離のほうは、ある程度わかってきているようです。網膜はとても薄くて破れやすいのですが、網膜に弱い部分があると、そこがどんどん薄くなって、終いには穴が開いてしまいます。例えば布が弱くなるとその部分は薄くなり繊維のあみが見えてきますが、網膜もこのような状態になります。特に近視の人は眼球が大きく網膜が引きのばされているために薄い部分ができやすく、近視の人に多い状態なのです。穴ができると、そこから硝子体内の水分が網膜の下にしみ込み網膜が剥がれていきます。

視力には4つの状態があって、正視、近視、遠視、乱視といいます。これらは、眼球に入ってくる光と焦点の関係によって決まります。角膜から水晶体や硝子体を通して入ってきた光が像を結ぶのが網膜です。結ばれた像が視神経を刺激してそれが脳に伝わった時にものが見える状態になります。正視というのは遠距離からの光がちょうど網膜で像を結んだ状態で、遠くのものも近くのものもはっきり見ることができます。近視は、近距離からの光は網膜で像を結び遠距離からの光は網膜より手前で像を結ぶ状態で、近くのものは見えるけれど遠くのものがはっきり見えません。遠視は、遠距離からの光を網膜より後ろで像を結ぶ状態で、近くも遠くもはっきり見えません。乱視の場合は、遠距離と近距離の両方からの光が網膜に像を結びにくい状態で、どこもぼやけて見えます。

近視については、水晶体の厚みを変えるなど大事な働きをする毛様体(もうようたい)の血流が悪くなり栄養の補給がうまくいかなくなることと近視が進行するのに関係があることがわかりました。つまり、毛様体の血管の血流を良くすることで、近視の予防や近視の進行を緩やかにすることができるのです。また、目の栄養状態が、近視を促進させてしまうことに影響することもわかっています。

網膜の老化が進行することでも視力が低下します。このように、視力が低下することに血流や栄養状態が関係あるのは、これらによって目の組織に対する活性酸素の影響が違ってくるからです。ですから、活性酸素によって目の組織が酸化されてしまうのを予防するには、抗酸化物質であるカロテノイド、その中でも特に、目の組織に豊富に含まれているルテインやゼアキサンチンを普段から摂取しておくことが大切であり、視力が低下するのを防いだり改善するのに役立つのです。

他の成分と組み合わせて目への効果をアップする

ルテインとゼアキサンチンは目の組織に多く含まれるカロテノイドであり、強力な抗酸化作用があることが特徴です。目に良いといわれている他の成分にも抗酸化作用はもちろんありますが、ルテインとゼアキサンチンしか存在していない目の黄斑部では働けないし、水晶体に入って力を発揮することも難しくなります。しかし、ルテインやゼアキサンチンと他の成分とを組み合わせて摂取することで、目の病気に対し、総合的な良い効果が期待できます。

自然環境や社会環境の悪化、生活習慣の変化などによって、体内に活性酸素が発生する要因が増したことで目の病気が増えています。こうして起こるさまざまな目の病気には、食生活の改善や目にかかる負担を軽くする環境をつくることが大切になります。食品として摂取することで目に有効な成分は次のようなものです。

 

ブルーベリー

目の網膜にはロドプシンという光を感じる色素があり、光の刺激を受けて分解と再合成の連続作用をしますが、これが脳へ伝達されると視覚として対象物が見えるようになります。ブルーベリーに含まれているアントシアニンという色素は、活性酸素の害を消去する力が強く、またロドプシンの再合成を活発にします。これにより、視野が広がったり、夜間の視力が良くなったりします。
 

メグスリノキ

江戸時代から目の特効薬とされていた日本特産のメグスリノキですが、後の研究では、煎じた液がかすみ目や仮性近視、老眼などに良いと報告されています。これは、メグスリノキにある利尿作用や肝臓を保護する働きによって目の症状が改善されるためだと考えられています。有効成分は、ロドデンドロールです。
 

リコピン

トマトに多く含まれているカロテノイドのひとつで、とても強い抗酸化力をもった赤色の色素です。目にとって有効な成分ですが、発ガン抑制作用も注目されます。
 

アイブライト

アイブライトはヨーロッパ原産のゴマノハグサ科の植物で、輝くようなきれいな目になるという意味から名付けられました。そのエキスは全草から抽出することができます。強力な抗炎症作用や収れん作用、肝臓保護作用などがあります。これらが体内の環境を整え目の健康維持に有効に働くものと考えられます。
 

カシス

夏に直径1㎝くらいの赤紫色の果実をつけるベリー類の植物です。ビタミンC やミネラル類、アントシアニンが豊富に含まれています。カシスのアントシアニン成分のひとつのデルフィニジン配糖体に強力な抗酸化作用があり、眼精疲労や近視が進行するのを抑制する効果がとても強いことがわかっています。ルテインとの相乗作用によって効果が高まることが期待できます。
 

アスタキサンチン

アスタキサンチンは、ルテインと同じくキサントフィル類に分類されるカロテノイドの一種です。いろいろな植物や藻類に存在し、鮭の筋肉やイクラなどにも多く含まれていて、光によって細胞膜が破壊されるのを防ぐ働きがあり、組み合わせて摂ると視力回復効果が高まります。また、筋肉の酸化を防ぎ、疲労回復に有効です。

ガンや動脈硬化が発生するしくみ

日本人がガンで死亡するのは当たりまえの時代で、亡くなる人の全体のうち4人に1人以上はガンが原因とされています。人間の体は約60兆個もの細胞からできていますが、ガン細胞は、この多くの細胞の中で増殖を続け反乱者のようになります。ガン化した細胞は細胞分裂して増殖し続けるので、ガンが大きくなるのにはそれほど長い期間はかかりません。

ガンをはじめとする多くの生活習慣病は、活性酸素によって引き起こされることが研究により明らかになりました。活性酸素は細胞膜を破壊して、細胞の核にある遺伝子をとても細かく切断します。その切断されたうちのいくつかのガン遺伝子がガン細胞をつくるように働いてしまいます。

また発ガン物質は、体内でより多くの活性酸素を発生させることが明らかになったのですが、私たちの体内で活性酸素を発生させるものには、ストレスを感じること、タバコを吸うこと、食物に使われる農薬を体内に取り入れることなどがあります。

これらのことから、ガンを抑制するには体内での活性酸素の発生を抑えることが重要となるのですが、さらに、抗酸化物質によって、既にできてしまった活性酸素を消去することがとても有効なのです。

ガンに次いで日本人の死亡原因の多くとなっているのが、心疾患と脳血管疾患です。心筋梗塞や脳卒中の引き金となるのが動脈などの血管壁が硬化してしまうことです。血管壁が硬化する主な原因は、LDLといわれる悪玉コレステロールにあると思われてきました。しかし、実は、この悪玉コレステロールが活性酸素により酸化されてできる『酸化コレステロール』こそが直接の原因となっています。

コレステロールは、細胞膜やホルモンなどを健康に維持するための大きな役割があり、私たちの細胞に欠かせないものです。体内のあらゆる細胞には悪玉コレステロールの専用受容体があり、いっぱいになると自動的に受容体の数を減らして、余分なものは血液中に浮遊させます。活性酸素はそれを酸化して酸化LDL(酸化コレステロール)に変えてしまうのです。この酸化LDLは体にとって害になるものと認識され、マクロファージと呼ばれる免疫細胞が、食べて除去しようと働きます。

ところが酸化LDLが多すぎるとうまく処理できず、マクロファージは食べたものをため込んだ状態になります。そして、それがどんどん大きくなると風船が破裂したように死んでしまったマクロファージが血管中に残り、こうして繰り返されていくうちに、血管内に積み重なって、やがてドロドロした状態になって血液の通り道が狭くなります。これが動脈硬化といわれるものですが、真犯人は酸化LDLです。動脈硬化を防ぐには、活性酸素によって悪玉コレステロールが酸化されないようにすることが重要です。

ルテインやゼアキサンチンはとても強い抗酸化作用をもつ物質ですから、生活習慣病を抑制することが期待できます。

ガンや動脈硬化を抑制するルテイン

抗酸化作用で生活習慣病を予防・改善

ルテインとゼアキサンチンはカロテノイドの中でもとても強力な抗酸化作用をもっていますので、目の病気だけでなく他の生活習慣病に対しても優れた効果が期待できます。それは、ルテインやゼアキサンチンなどの抗酸化物質に、ガンや動脈硬化などのさまざまな生活習慣病を抑制する働きがあるからです。

ワインの生産量・消費量の多いフランスの人々が、ほかのヨーロッパ各国の人々より動物性脂肪をたくさん摂っていてもガンや心疾患になる人が少ないのは、赤ワインの消費量が多いためだと考えられています。これは赤ワインに含まれる抗酸化成分のポリフェノールによるものだということが、フランスやアメリカの研究者により明らかになっています。日本でも研究が進み、赤ワインを飲まなかった人よりも飲んだ人のほうが悪玉コレステロールの酸化が抑えられていることがわかり、学会でも報告されています。ポリフェノールは、ビタミンEの半分の濃度で活性酸素の酸化を防ぐことができることや、アルツハイマー病の発症を抑えることもわかっています。

このように抗酸化物質は、生活習慣病のガンや動脈硬化、高血圧、心臓病などを予防し、改善するのにとても効果的です。活性酸素を除去するには、人工的な医薬品としてより、カロテノイドのように自然の植物、野菜や果物に含まれる天然物として摂取するほうが優れています。そして、生活習慣病の予防や改善の効果は、高い抗酸化力のあるルテインとゼアキサンチンについても当てはまるのです。

これらのことを裏付けるような研究のデータがいくつか報告されているのですが、そのうちのひとつに、ハワイ大学によるルテインのガンに対しての改善効果に関する調査報告があります。それによると、南太平洋諸島の中でもフィジー諸島に暮らす人々がほかの島民と比べてルテインの摂取量が多いこと、それと血中濃度がほかの島民よりも高いことがわかっています。このことから、フィジー諸島の人々に肺ガンがとても少ないことの理由のひとつとして明らかになりました。ルテインの一日の摂取量をみてみると、フィジー諸島の島民が平均18~23ミリグラムに対し、タヒチ島の島民の場合4ミリグラムあまりと、かなりの差があります。また、アメリカでガンの死亡原因のうち2位の結腸ガンとルテインに関しての研究では、ルテインを豊富に含んだ食物を最も多く摂取している人が男女ともに、結腸ガンの発生率が低いことが明らかになったとされています。

こういった研究では、ルテインがガンのリスクを低減させるのに関連のある成分として特定されたといえ、カロテノイドの中でも優れた抗酸化物質であるルテインの働きが証明されたのです。

ルテインの摂取で目の健康を増進

目が光の刺激で物を映すときに、ビタミンAは網膜で色彩に強い視覚色素と夜間に強い視覚色素をつくっているのですが、これらの色素には、輝く光線に露出されると漂白されやすい性質があります。これはどういうことかと言うと、カメラのフラッシュを浴びた瞬間に目の前がまっしろになりますが、フラッシュの強い光線で、一時的に視覚色素が消されてしまうためです。このようになっても網膜が健康な場合は、視覚色素が速やかに補給されて視覚はすぐに正常な状態に戻ります。しかし、網膜に異常があると、視覚色素が補給されるのが遅くなって視覚も戻りにくくなります。ひどい場合は、明暗に対しての目の適応が遅れることもあります。

食物から吸収されたルテインやゼアキサンチンは、おもに目の視神経に近い黄斑部に蓄積されるのですが、それらが黄斑部に多くあるほど、黄斑部は目に入ってくる光をろ過し、視覚色素が酸化されるのを防ぐように働きます。逆に、ろ過されないまま網膜に入ってくる光が多いほど視覚色素は酸化されて欠乏しやすくなります。

黄斑変性症と瞳の色の関係では、瞳の色がブルーやグリーンなど色の薄い人に発症することが多いことがわかっていますが、それは、薄い色が紫外線や青い光を通過させやすいことが理由にあります。ですから、日差しの強い日中の外出には、視覚色素を破壊してしまう紫外線や青い光を抑えてくれるサングラスをかけるのがおすすめです。

しかし、やはり目の健康を守り増進させるには、普段からの食生活が重要になります。サプリメント先進国のアメリカでは、消費される栄養補助食品の中でアイケアに関するものが一番多いといわれ、目の健康に良い栄養素として、ビタミンA、β-カロテン、リコピン、そしてルテインといったカロテノイドがよく知られています。そのほかにも目に良い成分として、ブルーベリーエキス、アイブライトエキス、メグスリノキなどがあります。

閉経後の女性は黄斑変性のリスクが高くなる

体内に入ったカロテノイドは、まず消化器官で吸収され、次に肝臓で吸収されます。ここでカロテノイドはリポプロテインと結合し、血液によって目や脳、皮膚などへ送られますが、ルテインとゼアキサンチンは50%以上が血液中の善玉コレステロールによって運ばれます。女性は閉経後にコレステロールが低下することがあって、そのぶんルテインやゼアキサンチンが供給される量が減少してしまうので、健康な人と比べて、黄斑変性症のリスクが何倍も高くなってしまうこともあります。ですから、閉経を迎えた女性は特に、ルテインが多く含まれる食品や補助食品を摂取するよう心がけたいものです。

また、アルコール中毒を患っている人は、夜、視覚が悪くなることがあります。アルコール中毒になると肝硬変などによって肝臓がよく働かなくなるので、カロテノイドがうまく処理されず、供給量も減少してしまいます。

ルテインとゼアキサンチンの性質

ルテインとゼアキサンチンが目の組織に対して持っている優れた性質には次のようなものがあります。

目の黄斑部との親和性

ルテインとゼアキサンチンはカロテノイドの仲間ですが、ほかのカロテノイドと違うところは、目の網膜の黄斑に含まれている色素だということです。つまり、ほかのカロテノイドにどんなに優れた抗酸化作用があったとしても、黄斑部ではうまく機能しません。また、ルテインやゼアキサンチンのように、白内障が起こる水晶体に入って抗酸化作用を発揮する物質はほかにそれほどありません。食品として摂取して白内障の予防や改善に役立つのは、ルテインとゼアキサンチンくらいです。

食品として摂取して目の病気を阻止する

視力の低下、視野がかすんで見えるなどで眼科を受診して白内障と診断されると、一般には点眼薬を処方されます。しかし、目薬をつけることだけで白内障を改善することや進行をくい止めることは難しいのです。
それに対して、ルテインやゼアキサンチンのように食品として摂取できると持続することができます。そして、ルテインとゼアキサンチンの血中濃度が下がると加齢黄斑変性のリスクが高くなることがわかっていますが、必要な血中濃度を維持することができます。

マリーゴールドからエキスを抽出できる

マリーゴールドという植物を知っている人もいると思いますが、その花弁から抽出されたエキスが、すでにサプリメントとして使用できるようになっています。マリーゴールドから得られるルテインとゼアキサンチンは、エステル型といわれる天然型であり、化学的に非エステル型よりも安定しているといわれています。これを経口摂取すると腸内で加水分解され、吸収率の高い非エステル型に変わり吸収されると考えられています。非エステル型は、化学的には安定感がエステル型よりも劣りますが、高い吸収率があります。

ソフトカプセルが最適な形

ルテインとゼアキサンチンは脂溶性であるため、脂肪分と一緒に摂取すると吸収効率が上がります。脂溶性の成分で酸化されやすいのですが、ソフトカプセルにすることで安定な状態に保つことができます。それは、ソフトカプセルの皮膜が空気中の酸素を強力に遮断するためです。また、カプセルが消化器内で溶けたとき、内容液が素早くかつ均一に分散されるので吸収されやすくなります。

加齢黄斑変性症と生活習慣

目の網膜には光を識別する光受容体という視細胞があり、この光受容体は、黄斑部に特に多く存在しています。その数は何百万個ともいわれます。その黄斑部が過酸化脂質によって変性すると、視覚の対象となる物の輪郭や色、大きさなどが本来のものと変わって見えたり、曲がったように見えたり、止まっている物が動いて見えたりします。黄斑部に異常をきたし、このように視力障害が起きるのが黄斑変性症の症状です。そして黄斑変性症は年齢を重ねるに連れて発症しやすくなり、高齢者は、放置しておくと失明の危険性がある加齢黄斑変性症にかかる人が増えています。

加齢黄斑変性症は、はじめに片方の目に症状が出て、痛みを感じることなくゆっくり進行していき、やがて両目に及びます。初期症状では、視界がぼやけ、線がゆがんで見えたり、視野の真ん中あたりに黒点が見えたりします。その周りの可視部は守られていますから、物を見ることはまだある程度できます。しかし、文字の読み書きや人の識別、自動車の運転などは難しい状態となって、日常の生活に支障が出てきます。それでもなお、明るい太陽の光を受け続けていると症状が悪化し、暗い場所から明るい場所への切り替えがとても大変になっていきます。

タイプは、萎縮型=ドライタイプと、滲出型=ウェットタイプのふたつがあります。一方の萎縮型は、老廃物が黄斑部に蓄積されることで発症するといわれています。年齢を重ねるに伴い黄斑の光知覚細胞がゆっくりと変性していくことと関係しているのですが、原因についてはじゅうぶんには解明されていません。物が見えにくくなるのがとても緩やかなので、自分ではなかなか気づかないことが多いようです。もう一方の滲出型は、溜まった老廃物を吸収しようとして、網膜の外側にある脈絡膜から新たに血管が生まれることが発端となり発症します。こちらは症状の変化が速く、発症してから短い期間で目の異常や視力の減退が進行します。

日本で患者数が増加してきている主な原因は、食生活の欧米化が進んだことや自然環境の悪化などが考えられます。食物に含まれる抗酸化物質が不足している人ほど、加齢黄斑変性症の発症する確率が高いことがこれまでの研究でわかっています。

活性酸素を発生させ、抗酸化物質を減少させてしまう喫煙については、たばこを1日に1箱以上吸う人が加齢黄斑変性症にかかる確率は吸わない人の2倍以上も高くなり、禁煙したとしても、その影響は10年以上続くことが明らかになっています。また、アルコールについても、ある程度以上の量を摂取すると体内の抗酸化物質が減少してしまいますので、目の障害にもなる可能性があります。

このように私たちの生活習慣の悪化が、加齢黄斑変性症の発症率を高めているのです。